地産地消インタビューvol.5 冨澤剛さん

初めまして!みなさんこんにちは。ICU地産地消プロジェクトです。
今回お話を伺ったのは、三鷹市で農業を営んでいる冨澤剛さんです。

冨澤さんは様々な作物を育てており、それに加え、一般市民の方々が体験できるように収穫体験会を開催したり、都市農業を広める活動も頻繁になさったりしています。

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◻︎普段育てている野菜


ー普段はどんな野菜を育てていますか?

年間を通して、野菜をメインに作っています。

その種類は30種類ほど。旬に合わせて、野菜を育てています。

春・夏・秋・冬に分けて以下のようにして、一年中何かしらは育てています。

・のらぼう菜(江戸の伝統野菜)

・アスパラガス

・スティックブロッコリー

・小松菜

・プチヴェール

 (芽キャベツとケールの間)


・玉ねぎ

・じゃが芋

・トマト

・きゅうり

・ナス

・ズッキーニ

・ゴーヤ

・枝豆

・トウモロコシ

・ピーマン

・とうがらし各種(内藤)

・かぼちゃ

・インゲン豆


・落花生

・里芋

・サツマイモ

・キャベツ

・ブロッコリー

・カリフラワー

・人参

・大根

・白菜

・ほうれん草

・ネギ


基本、ビニールハウスの施設を利用して、冬に夏野菜作ったり、トマト一ヶ月早く作る

旬の時期をずらして、有利に販売できるようにしている。加えて、プロの農家さん向けに夏野菜の苗も売っている。

このような感じです。

ーとても幅広く多品種を売っていますね。

冨澤さん)
販売先もそうですが、幅広く手がけることで、何かあった時に
補填が効くんですよね。


◻︎仮想世界ではなくリアルな農業の世界で

ー冨澤さんはなぜ農業をすることになったのですか?

冨澤さん)
そもそも、自分の家が農家だったので、そのまま受け継ぎました。

自分は次男だったので、長男が引き継ぐと思い、最初は就職活動をし、IT関連の仕事をしていました。

しかし、仮想世界で働くのではなく、リアルな農業の世界でも働いてみたいと思い、仕事を変えました。実際に今は天職だと思っています。なぜなら、農業は人を笑顔にできる仕事だからです。自分が作った野菜を美味しかったですと報告してくれたり、農業体験をしてもらうと、喜んだりしてくれます。
今は、近くの園児や幼稚園の先生、保護者の方々も含め、サツマイモの苗を植えたり、掘ったりしてくれたりと定期的に手伝ってくれます。
特に園児のような幼少期に農業体験をさせてあげることは子どもの将来にとってもとても意義のあることだと感じています。

―なるほど。人を笑顔にする仕事というのは、さらにやりがいを感じますね。
それも含めて、農業の魅力をどうお考えですか?

冨澤さん)
まずは、思いついたアイデアをすぐ実行できることです。

会社や企業に務めているときは、場合によっては自分の思いとは異なることをしなければなりません。それか自分の意見を通すには、組織の人たちを納得させないといけません。
その意見が通ることは難しいです。
ですが農業は、全ては自分の責任となりますが、思いついたアイデアを即実行に移すことができます。それが、農業の利点であり、とてもやりやすい部分ではあります。

それから、もう一つは、様々なコミュニティを作ることができることです。

農業を通じて、地域の課題を緩和し、コミュニティビジネスを発展させられることができます。事業がどれだけ社会に影響を与えることができたかが、目に見えてわかるのです。今は特にこちらの方を重視して活動をしています。


◻︎農業の難しさや課題


―地域の人たちとのつながりを実感できる仕事というのもあまり少ないので、貴重なお仕事ですよね。利点もある一方で、農業を維持する上での難しさや壁はありますか。

冨澤さん)
利益が少ないことだと思います。

特に東京では、バブルの時代を経て地価が上昇しました。何ヶ月もかけて作るのに、スーパーなど流通を挟むと、農家の手取りは1/3しかありません。ほとんど利益がない状態です。農業だけで生計を組むのは、なかなか至難の技でした。

それに加えて、かつて、農業は効率性の悪い仕事として、人も離れていくし、注目する人がほとんどいませんでした。時代が進むと、全て貿易に頼ればいいという意見をいう人も出てきて、農業へのバッシングはひどかったです。そのような風潮に対抗すべく、地域のための農業をしようと直売所を設立しました。売上も中間マージンがかからないため、農家にとってもメリットもありました。

また、5年前(平成27年)に都市農業新興基本法が制定され、このことにより、前より都市で農業はとてもやりやすくなりました。この法改正があるのも長い期間戦い続けた経緯があってこそだと身にしみて感じています。

もう一つ大問題なのが、一部の農家の方が口を揃えて言いますが、自分たちは経営者になりきれていないということです。農作物の管理だけでも忙しく、利益が出るような経営にまで頭が回らないし、時間もないという困った現状であるということです。

―そのような部分を回り方サポートし、アドバイスしてくれる方が必要ですよね。

冨澤さん)

そうだと思います。

それから、日本の食料自給率は低いため、そこの改善のためにも農業は率先して力を入れなくてはならない分野だと思います。人間が営み、暮らすためには、毎日食料が必要です。現代の20代の方が経済と農業をもっと積極的に掛け合わせて、日本の農産物を消費するという行為で徐々に協力してほしいと思います。


◻︎地産地消への思い

―先ほどもおっしゃっていましたが、農業は地域とのコミュニティが切っても切り離せない関係だと思います。地産地消への思いをお聞かせください。

冨澤さん)

地産地消を続けるのはやはり、地域の人たちに新鮮で美味しい農産物を届けたいという思いが強くあります。

それから、物とお金だけでなく、人との交流も発展できます。この運動を続けていくと、街中農家のファンの方々が増え、新たな知り合いをお客さんとして連れてきてくれたり、新たなプロジェクトが生まれるきっかけを与えてもらえるのです。そうやって、人との交流を広げた結果、自分の農家の活動を応援してくれる方々に巡り会えるのです。

フードマイレージ(食べ物が届くまでの輸送距離)の削減に繋がり、環境へも負荷がかかりません。健康にいい食物を届けられるのです。

また、地域資源の再利用もしています。
近隣にある大学の一つ、ICUの敷地内で出る落ち葉、農工大馬術部の馬糞などを堆肥にして、畑に返しています。


―地産地消には様々なメリットがあるのですね。
ICUの地産地消プロジェクトに積極的に関わってくださるのはなぜですか?

冨澤さん)

感謝しているからです。自分の活動を応援してもらってる団体なので、関わって行動で示しています。そして、純粋に学生の皆さんと話すのが楽しいからです!

―ありがとうございます!

別の話に移りますが、コロナの影響で変わったことはありますか?


冨澤さん)
取引の関係です。
私の農産物流通は以下のような内訳になっています。
各々20%ぐらいの割合で分配していました。

1 農園の庭先 無人売店 → お客さんが増えた

2 三鷹農家 共同直売所 → お客さんが増えた

3 給食→ 一旦休止に (休校になるなど不確定要素が多い)

4 飲食店→ 復活の見通しがつかない、営業自粛の影響でお店自体が経営破綻するとろも

というように、主力の売り先は失ったけれども逆に直売が増えました。
スーパーの人混みがきになるため、直売を利用する地域のお客さんが増えました。

また、コロナの影響で近くを散歩する方々が増え、たまたま見つけて、買ってくださる方もいます。料理をする方も増えているため、新鮮な野菜を得たいということで買い求めてくださる方もいます。

また、畑は密にならないので基本的に仕事は継続できました。売り先の影響は受けましたが、このような状況になっても継続できるので、農業は最終的に強い産業の一つだと再認識しました。飲食店で仕事していた方にも手伝ってもらって、経済的に苦しい状況の方々の少しは、助けになることができたと思います。


―この状況になってやはり農業を見直す人たちがさらに増えたと思います。
第一次産業は戦後の経済成長とともに、重要視されなかった分野に思えますが、この危機を通して冨澤さんにとって三鷹という地域はどういうものですか?

冨澤さん)

時運の祖先がこの地を代々守り抜いているものなので、いい地域を維持したいと思います。自分の故郷でもあるし、何年も住んでいるために自分にとっては特別です。みんなで三鷹を盛り上げたいですね。

引っ越してくる方も多いので、そういう方たちが特に興味のある方が多いので、一緒にやって行きたいなと思っています。

そして、最近はSNSで自分の考えに近い方とマッチングする機会が多いため、前より農業の活動を広めることができていると思います。

数年前、より成長を目指して、地域の信用金庫が企画した農業経営塾に通いました。マーケティング・ブランディングの講義の回で、講師の方が、「コミュニティをたくさん作りなさい。野菜を食べる人が応援してくれる人に変わってくれるから」

と言っていたのを覚えています。

また、農業経営塾とは別に、今年に入ってから「大家の学校」というセミナーにも通い始めました。地域で事業をしながら、コミュニティー作りを実践している実例を学べるセミナーです。

例えば、銭湯と空き家をつなげて、コミュニティーと不動産経営を組み合わせる例はとても勉強になりました。銭湯好きの地域コミュニティが築き上げられ、その後、さらに別の形で発展を遂げています。

そのような実体験を知ることで、自分の事業に活かせることがたくさんあるので、このような繋がりをより大切にして、地域コミュニティをうまく活性化できるように日々考えています。

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冨澤さん、貴重なお話をありがとうございました!

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ICU 地産地消 -Make&Consume Local- Project

ICUから地域の方々とつながっていくことはできないだろうか…?ということで、始まったのがこのプロジェクト。地産地消の取り組みを通して、心から豊かな生活を築いていきましょう!!