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地産地消インタビュー vol.8 森屋賢さん 第2部

三鷹市北野で様々な野菜を育てている農家さん、森屋賢(さとし)さんへのインタビューの後半です。インタビュー・記事執筆はゆきちゃんが担当してくれました!


『畑がなくなってしまう危機は税制にあり』

――農家をする中で大変だなと思うことはありますか?


森屋さん:大変なことは、畑をなくさないようにすることが都市農業では一番の問題。

相続などで農地が持って行かれてしまいます。

高い相続税を払うために土地を売らなくてはいけないのが現状なので、どうにか変えていかないといけない。どんなに周りの人に都市農業がいいねと言われてもなくなってしまう可能性があるので。


――法律を変えないといけないのですか?


森屋さん:そうです。税制を変えなくてはいけない。

国としても税金を集めないといけないからあるところから取るということになるんだろうけど。これはなかなか難しい問題です。


――農家さんが畑をしていた土地を更地にして売ったり貸したりしているということを聞いたことがあります。農地を畑にするよりも、マンションなどにして人に貸すなどしたほうが、お金ははいるのですか?


森屋さん:そうですね。農業だけでなく、不動産をやっているのはなぜかというと、税金を払うため。農産物の単価は相場が決まっていて、いくら税金を払わないといけなくても、10倍の値段では売れない。だから東京は人も多いし、不動産業でもしようということで始まったんだよね。そもそも、決して楽をしたいか土地を売っているのではなくて、あくまで税金を払っていかないといけないからやり始めたことなんだよね。


――農業収入だけではやっていけない現状なのですね。


森屋さん:生産緑地法といって、畑として土地を保つならば、税金が猶予されて、宅地に比べれば税金が少なくなる制度もある。しかし、生産緑地といっても手放しに喜べるものではなくて、生産緑地に申請した土地では死ぬまで畑として保っておかないといけないんだ。税金が「免除」ではなく「猶予」されるだけだから、畑として保っておかないと、その分遡って税金を払わないといけない。人間だから歳をとれば畑作業を続けるのは困難になる。後継ぎがいる家ならいいけど、いなかったら死ぬまで畑として保っておくというのは難しい。そうなると、税金ばかり払わなければならなくなって採算が取れない。だからやむなく土地を手放す人が少なくないんだよ。

でも改善している面もあって、平成27年4月にできた都市農業振興基本法によって、都市農地も地方の農地と同じように保全すべき対象として認められるようになった。つまり、東京でも、地方と同じように国から補助をもらえるようになった。これでだいぶ状況は良くなったけど、相続税に関しては、変わっていないから土地を売っていかないといけない状況はまだ変わらないんだ。


『農業の魅力は人と地域と繋がれること』

――では、農業の魅力は何だと思いますか?


森屋さん:農業を介して、人や地域とつながることができることかな。

農業の新しい可能性を結構みんな感じてくれていて、色々な人が農家をしている僕らと関わってくれるようになった。こんなに人が集まって、地域と関わる仕事はなかなかないから、そこがすごく農業の魅力だと思う。特に最近は農業や地産地消というものがより求められてきていると感じる。特にコロナが流行りだしてからは、スーパーでの密を避けるために庭先販売に来る人が多くなって、中には「みんなの直売所MAP」といってウェブ上に直売所マップを地域のみんなで作り上げていこうという動きもある。「チリンチリン三鷹」という地域のものを地域の人に配達する地域版Uber Eatsのような団体も立ち上がっている。さらに、「ミタ帖」という地域通貨も作ろうとしてるんだ。いろんな動きに一気に巻き込まれているよ(笑)


――確かに最近だとウェブのMAPの方が使い慣れているので便利ですよね。「チリンチリン三鷹」や「ミタ帖」の動きも地域での助け合いの精神を形にしていて凄いですね。


みんなの直売所MAP(仮登録版)


チリンチリン三鷹



『「食べる人」と「作る人」を超えた関係へ』

――地産地消への思いはありますか


森屋さん:「地産地消」大事!!!笑

地産地消って三鷹だけの括りでも大切だけど、日本全体で見ても大切。

コロナの状況になって改めて思ったけど、マスクもそうだったように輸入に頼っていると急な対応ができなかった。食べ物も同じで、輸入に頼ってばかりだと緊急事態が起きると対応ができない。日本の人が食べるものは日本で確保できるに越したことはない。さらに言えば三鷹で食べ物が賄えるのなら、三鷹の人が作ったものを三鷹の人が食べるということが一番良いと思う。そこからまた人と人とのつながりもできるしね。ただ単に「食べる人」と「作る人」という関係だけじゃなくて、もっと深いつながりができる。付随してフードロスが減る、輸送している間に大気汚染しないなどの良いこともある。


――繋がりができると言うのも大きいのですね。チリンチリンみたかのような動きも元から「地産地消」の動きがなかったら実現してなかったかもしれないですよね。


森屋さん:きっとできていないね(笑)チリンチリン三鷹は、三鷹にある資源で助け合って行こうよというものだから。


――「ICU地産地消プロジェクト」に関わってくださっているのはどうしてですか?


森屋さん:結局人だね。地産地消に関わっている色々な想いを持って活動している学生がいるから。人がいて、その人たちに思いがあって、その思いを応えることができる僕らがあるから、じゃあ一緒にやって行こうということで色々一緒にやっている。できることは協力していきたい。


――ありがたいです。学生という立場は、ずっと三鷹にいるわけじゃないから私たちがつっこんでいいことなのかな?と思っていました


森屋さん: I C Uが好きで三鷹が好きで、農業が好きでということであれば誰だろうといいと思う。大学にいたころは考えたことなかったからすごいなあと純粋に思っているよ。


『地域の人に必要とされるために』

――コロナの影響で何か変わったことはありますか?


森屋さん:体と体の距離を離さないといけないとなると、精神的な繋がりはより必要なんだなと感じた。チリンチリン三鷹のように地域のいろんな人の気持ちが繋がってできた活動に農家として関わって改めて農業のあり方を考えさせられた。

これからは農家として、J A青壮年部として、地域の人の要望(声)にどうやって答えるかが大切になると思っている。

今までもいろんな形で地域とつながってきたけど、これまでとは違うニーズも出てくるかもしれない。これまで都市農業に興味のなかった人もこっちを向いてくれようとしているから、またそっぽを向かれないようにしていかないといけないなあと思う。


――さらに森屋さんの手帳が埋まりそうですね(笑)(森屋さんの手帳はすでにぎっしりと埋まっている)


森屋さん:必要とされているとしたら、周りの人が見ていてくれたんだな。以前から思っていたことなんだけど、やったことが10年後ぐらいに仕事として出てくる。

20代の時にやってきたことが30代に出てきて、30代の時にやってきたことが40代(今)出てきている。40代(今)やっていることがきっと50代に出てくる。だから、やれる時に、一生懸命やることが大事だと思っているよ。


『三鷹が土台』

――最後に、森屋さんにとって地域とはどのようなものだと思いますか?


森屋さん:これは土台だね。今の自分の土台になっているのは三鷹の地域。

今までやってきたことを生かそうとしているだけで、本当に三鷹市に育てられている。


――なるほど。土台がないとなかなか積み上がらないですよね。自分というものができてこない感じがします。


森屋さん:幼少期から地域のものを食べていたり、地域の人たちとの繋がりがあった。

周りは地域の人ばかりだから、同じような人がずっと見守ってくれていたし、大きくなってからも一緒に活動したりしている。「チリンチリン三鷹」とかって、いきなり他の地域でできないと思う。その土地のいろんな人のつながりがあるから、三鷹という土台があるからいろんなことができる。玉木さんも知り合い増えたでしょ?(笑)

三鷹は、いろんな興味がある人を受け入れる土壌だからさ。

(完)

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森屋さん、本当にありがとうございました!

地産地消インタビューvol.8 森屋賢さん 第1部

森屋さんは三鷹の北野で様々な野菜を育てている農家さんです。

農家のお仕事だけでなく、消防団や五輪の活動、小学校への出張授業など、様々な地域活動をパワフルに行っています。

今回は森屋さんに都市農業の現状から農業を始められた背景や原動力まで、幅広くお話を伺いました。

『季節の野菜を作っています』

――どんなお野菜を育てていますか?


森屋さん:路地とビニールハウスで、基本的には季節のお野菜を30〜40種類くらい作っています。去年からパッションフルーツを始め、今年からイチジクを始めました。

春は夏野菜の苗、春大根、きゅうり、茎ブロッコリー、新玉ねぎなど、夏はトマト、ミニトマト、ナス、枝豆、とうもろこし、ピーマン、きゅうり、じゃがいもなど、秋は大根、人参、キャベツ、ブロッコリー、カリフラワー、白菜、小松菜、ホウレン草など、冬は小松菜、ホウレン草などの葉物を作っています。冬には夏野菜の種まきをして管理を始めます。


――本当に様々なお野菜を作られるのですね。それにしても夏野菜はいろんな時期にお世話が必要なのですね。


森屋さん:1月に種まきをして育った苗を5月に植えて、あとは管理する。夏野菜は支柱を立てるなど管理してあげないと長く収穫できないので、手がかかる野菜です。


『「江戸東京野菜」はブランド』

――なるほど。森屋さんはここ最近、新たにのらぼう菜などの「江戸東京野菜」を作り始めたという話を聞きました。「江戸東京野菜」は東京で代々作られているものというイメージだったので、新たに作り始めたというのは意外でした。「江戸東京野菜」の立ち位置についてお聞きしても良いですか?


森屋さん:「江戸東京野菜」はブランドだね。実は江戸東京野菜という概念はここ最近のもので、10年も経っていないんだよ。

新宿伊勢丹の野菜売り場には、いろんな地域の野菜が売られてるんだけど、昔は東京の野菜は江戸東京野菜の内藤唐辛子しかなかった。「東京で野菜作っているんですけど、売れますか?」とバイヤーさんに尋ねると、「東京で野菜を作っているだけじゃねぇ」と言われた。やっぱりブランド力が大事なんだと思ったよ。

ただ東京で作っていると言うだけでは売れない。そういう背景で元々東京にある野菜をブランドにしようと動きになったんだと思うよ。もちろん、昔から東京にある野菜を残していこうという想いが一番の根本にあると思うけどね。ただ、物によっては、希少価値を高めるために、特定の農家、特定の売り場でしか作ったり売ったりしてはいけないものもあって、どうなのかなと思う面もあるよ。


――なるほど。確かに三鷹に住む一大学生としては、高いブランド物よりは、当たり前に手に取る三鷹野菜の選択肢が増える方が嬉しいです。普段食べる野菜が地域で取れていて、それが安価で普段食べていける世界が理想です。ただ、農家さんがそれだと食べていけないとなるとそれも良くないですよね。「ブランド」については考えていきたいです。


森屋さん:稀少だから名前が売れるのか。いろんなところで扱っているから名前が売れるのか。ブランドについて考えるのは難しいね。まあ最終的にはバランスだと思うけどね。

僕が江戸東京野菜ののらぼう菜を始めたのは、単純に端境期に取れる野菜だし、美味しいから。それに江戸時代に飢饉があった時、食料として広まったくらい強いんだ。


――のらぼう菜は柔らかくて個人的に大好きです。のらぼう菜のようにあまり高くなくていろんなところで売られている江戸東京野菜もありますよね。


『継ぐと決めたのは、好きなことをやらせてくれた親への恩返し』

――なぜ農業をやられているのですか?


森屋さん:うちは先祖代々受け継いでいる畑なんだけど、子供のうちは全然興味がなくて畑にも出ていなかった。大学も体育大学だし、オーストラリアにも行かせてもらったけど、スポーツを勉強してたし、自分の興味のあることを家のことも考えずに色々とやらせてもらっていた。でもふとした時に、これまで色々とやりたいことをやらせてもらったから、ここから先は、親が望んだことをやるのもいいのかなと。兄弟の誰かが農家を継がないといけないから、長男だし、普通に考えれば継ぐのは自分だなと思った。でも父親には告げって言われたことは一度もないんだけどね。母親や親戚に言われても、父親から言われたことはない。


――中には、兄弟のうち誰も継がずに閉園するお家もあるのですか?


森屋さん:いっぱいあると思うよ。今畑もどんどん減ってきているし、継ぐ人がいなくて。あと、高齢化も進んでいるしね。


――自分が継ぐと決めた時は、自分の家の畑が途絶えてしまうのは嫌だという気持ちもあったのですか?


森屋さん:その時はそこまで考えてなかった。聞こえがいいかもしれないけど、親孝行というか。本当に好きなことやらしてもらっていたから。農家の家なのにスポーツの勉強させてもらっていたし、「この人、いったい何がやりたい人なんだろう」って思っちゃうでしょ?(笑)


『地域密着はオーストラリアで出会った概念』

――スポーツの勉強をしにオーストラリアにいった時はスポーツ選手になろうとしていたのですか?


森屋さん:ううん、あの時は地域に密着したスポーツクラブが日本でも取り入れられていることを勉強していて、それが一番進んでいたのがオーストラリアだったんだよね。


――地域に密着したスポーツクラブとはどういうものですか?


森屋さん:例えば三鷹の中に一つのスポーツクラブがあって、プロになった人も近所の子供達もそのスポーツクラブに所属していて、一緒に練習をする。プロになった人は子供達にとってヒーローになるし、プロの選手もその地域に育てられたということで、恩返しとして子供達に指導したり、地域を盛り上げたりしている。実際三鷹でも元プロのキックボクサーで日本チャチャンピオンだった人が、地域に密着したスポーツクラブを始めようとしていて、彼には期待しているんだ(笑) 


――なるほど。地域密着はオーストラリアで出会った概念なのですね。その時の経験が今の森屋さんの生き方に繋がってるのかなと思いました。地域密着型なスポーツとの出会いが、農業、消防団、オリンピックの活動などいろんな地域密着型の様々な活動に繋がっているのかなと。


森屋さん:そうなのかな。確かに全部やってきたことは何かしら繋がっている。40歳過ぎて色々と繋がってきた。今は農業が土台だけれども、その前はスポーツや障害者の水泳指導もやらせてもらっていたから、大きく言えば「農業」「スポーツ」「福祉」に携わってきた。スポーツに関しては地域のつながりを生かしてオリンピックを盛り上げる活動に関わらせてもらっている。福祉に関しても農福連携を三鷹で進めて行こうと思っている。

もっともっとこれから繋がっていくんだろうね。自分が見てきたこととか感じたことを伝えることによって何か刺激を受ける人もいる。自分が大学生の頃からいろんな人に支えてもらって、色々な経験をさせてもらって今の自分がいる。だからどこかで恩返ししないといけない。


第2部に続きます。

地産地消インタビューvol.7 金子晃さん

地産地消インタビュー第7弾!今回は三鷹オーガニック農園の金子さんにお話を伺いました。

1. どんな野菜を育てていますか?

私の農園ではスーパーで売っているような F1 種(その品種限り有効、種を残すのには適さない種)の野菜ではなく、もともと植物として自生していた野菜の固定種、在来種を受け継いで育てています。意識的に単一の野菜を繰り返し生産しているわけではありません。なので、特定の、この野菜を...というものはないです。ただ、年間を通して収穫できるものとしては大根、ルッコラ、イタリアンチコリなどの葉物野菜や、じゃがいもなどがあります。

2. なぜ農業を始めたのですか?

私は農家の実家に生まれました。江戸時代に私の家は薬屋を生業としており、その一環として漢方の薬草の研究、栽培もしていました。次第に薬草の栽培から様々な植物、作物の栽培をするなど試行錯誤を重ねる中で有機野菜の栽培にも力を入れるようになり、その事業を受け継いでいます。

3. 農業の魅力はなんですか?

一言で言えば「工夫をすれば面白い」ということです。農薬を用いて、作物を繰り返し生産することだけが農業ではありません。私の推し進めるオーガニック農法では細かい作業や育て方の違いによって作物の味が様々に変わります。それゆえにオーガニックでは安定した生産が容易ではありません。しかし、工夫さえすれば、作物の可能性を大きく引き出せることができます。簡単な工夫だけではうまくいかないことが多いですが、挑戦できることで様々な活路が見出せることが魅力だと思います。

4. 農業の現状、何が大変?これから変えていかないとなって思うこと。

そもそも都市農業は肩身の狭い商売のように思います。私のようなオーガニック農家は行政をはじめ、人々には理解が及んでいないという面があります。画一的な生産方法だけが農業として認知されてしまうと、ますます魅力がなくなってしまいます。これからはオーガニック農法をはじめ、様々な農業のあり方が認められるようになってほしいと感じています。 そうすることで農業が面白い仕事であると認知されて、新しい担い手を呼び込める可能性があります。そういう環境を作っていくことが私の課題です。

5. 地産地消への思い

作物に対して、どこに着眼点を持つかは人それぞれですが、私にとっては「鮮度」がとても大事だと思います。学校給食に提供する場合には、「調理のしやすさ」(野菜の大きさ、形) を求められたりします。有名なレストランであっても「鮮度」はそこまで意識されていないようです。よって鮮度に着眼点を持つ人は主婦のみなさんを除いて、少ないのです。しかし、 私は食において「効率さ」よりも「おいしさ」が大事です。そして、そこで不可欠なのは「鮮度」ではないでしょうか。そのためには収穫されたものをいち早く調理し、食べてもらわなければなりません。地産地消は「鮮度」「おいしさ」の確保の点で大事なことであると思います。地産地消プロジェクトの野菜販売の時はいつもとれたての野菜を提供しています。多くの人に「鮮度」に着眼点を持ってもらうためにも地産地消は欠かせないものです。

6. 地産地消プロジェクトに関わってくれるのはどうして?

プロジェクトに関わる以前に、私の農園でとれた野菜を寮で集団購入してくれる ICU生の方がいました。そこからプロジェクトに関わり、ICU生のみなさんとの関わりも増えてくると、オーガニックにこだわりを持つ学生のみなさんが多いことを知りました。オーガニック野菜を生産する私にしてみればとても嬉しいことで、ICUで野菜を売ることがやりがいの1つになっています。また、プロジェクトのメンバーとも良い関係を築けているのも大きな要因ですね。

7. コロナの影響で何か変わったことはありますか?

私が納品していたレストランからの注文がほとんどなくなってしまいました。個人で注文してくれる方はいるのですが、個人で 10人分ほどになるレストランからの注文がなくなってしまったことで損失は大きいです。また、知り合いのレストランオーナー、シェフの方々が⻑引く自粛の影響で経営難に陥り、失業しています。私が知っているだけでも 3、4人で、全体ではもっと多いことでしょう。そこで、私から提案があります。私の農園でシェアキッチンを作って、失業してしまったシェフのみなさんにオーガニック野菜を使った料理教室を開催したいと思っています。なぜなら、安全なオーガニック野菜を求める消費者がいるからです。オーガニック野菜をはじめ、各地の伝統野菜には美味しく食べるための独特な調理方法があります。それらを適切に教えてくれるシェアキッチンはシェフたちと安全な野菜を求める消費者との間で win-winの関係を築けると期待しています。この構想を夢で終わらせてしまわないように、この状況を理解し、シェアキッチンを期待する消費者の方々にクラウドファンディングのお手伝いをお願いしたいと思っています。

8. 地域とは?(三鷹とは?)

私は農家として、主に地域貢献をしているわけではありません。町の中でのオーガニック農園は「何か面白いことをしている農家だなぁ」と思われる、「ガラパゴス」のような存在でしょう。誤解していただきたくないのは、そこで地域の人々を敬遠しているわけではないということです。私はオーガニック農法にはこだわりがあります。しかしながら、地域の中でオーガニックへの理解・関心が進まず、様々な場面で厳しい意見をいただくこともあります。ただ、「安全」、「美味しさ」という観点からオーガニック農園は不可欠であること、またそれを期待してくださっている消費者の方々がいます。私はこれからも地域の方々と相互理解を深め、無農薬の良さを伝えていきたいと感じています。そのことが私にとっての地域貢献と感じています。

地産地消インタビューvol.1~wata 焼き菓子さん~

みなさんこんにちは!
地産地消プロジェクトです。

新型コロナウイルスの影響で大学も閉鎖となっていた中
私たちの活動も限られてしまっていました。

しかし、
こんな状況でも何かできる活動はないかと考え、

普段お世話になっている三鷹の農家さんや、地域に根付いたお店を運営しているみなさんへのインタビュー企画を考えました。

様々な思いを持って活動されている皆さんの思いを、

ぜひ多くの人に知ってもらえればと思っています!

***

まず初めにお話を伺ったのは、

三鷹市にある「wata焼き菓子」の横田明子さんです。

横田さんは、夫婦でお店を運営されています。旦那さんがお菓子を作り、

明子さんが販売を行なっています。

***

▢お店を始めたきっかけ

赤石:横田さんご夫婦がこのお店を始めたきっかけは何ですか?


横田さん:はい。お店を始めたのは、5年前の3月10日です。

夫はもともと某ホテルのパティシエで、ケーキや焼き菓子を作っていました。

そこでずっと生菓子を作っていたのですが、生菓子よりも脇役である焼き菓子に可能性を感じるようになりました。そのホテルを辞めたあと、ちょうど主人の幼馴染みの知人が赤ちゃんを産んだことをきっかけに、彼の経営していたパン屋さんの物件を代わりに使ってくれないかとの話をいただいたんですね。ちょうど自分たちのお店を持ちたいと考えていたので、「これはチャンスかもしれない!」と思い、その物件を賃貸で使わせてもらうい、自分たちの焼き菓子のお店を開くことを決めました。

赤石:どんなコンセプトのお店なのでしょうか?


横田さん:高級なお店ではなく、誰もが気軽に立ち寄れるお店、地域の人が集まるようなお店でありたいと思っています。

子供がお小遣いを握りしめて買いに来れるような、そんなお店にしたいですね。

最近流行りののグルテンフリーやオーガニックの食材を使うと、どうしても高くついてしまうので、国産の食材や地域の農家さんの食材などを使うことで、なるべく体にいいものを意識しつつ、誰でも気軽に買えるお値段にしています。

何も買わなくても、お店に立ち寄っておしゃべりしたくなるような、地域の人に愛されるお店であってほしいと思っています。

▢地域とのつながり

赤石:地域の人との繋がりを深めるためにどんなことをしているのですか?

横田さん:地域の活動に積極的に参加したり、お店以外の場所でお菓子の販売をしたりしています。

■子供たちの居場所づくり

例えば、学校の休校期間に、地域の子供たちの居場所つくりをしている「だんだん・ばぁ」というNPO法人のお手伝いをしていました。休校になってしまったこどもたちのために、お弁当を作ったり外注したりして、子供達に配る活動をしていました。

■農家さんや飲食店さんとお仕事を探している人とを繋ぐ

また、「チリンチリン三鷹」という活動も行っています。休校や外出自粛により、給食に使う野菜を卸せなくなってしまった農家さんや、お客さんが来なくなってしまった飲食店さんなど、売り上げが激減し、困っている人がたくさんいました。そんな人たちと繋がって、何かできないかと始めたのがこの活動です。

農家さんの野菜や、飲食店さんのお惣菜やお弁当を、仕事が出来なくなってしまった事業主さんや学生さんを配達員にして、地域の方から注文を頂いて配達をすることで、困っている人の力になれていると感じます。

■地域の子供たちと繋がる

それから、「くまちゃんはうす」という活動にも参加しています。

ここでは、子供からお年寄りまで多世代で利用できるイベントやアクティビティを主催しているのですが、その活動の一環で、私たちは「朝のくま市」という朝市に出店しています。子供たちにお店のお手伝いをしてもらったり、「くまの夕方市」にお菓子を卸して子供たちに店員さんをしてもらったり、子供たちに集まってもらってお店やお菓子の話をしたり、実際にクッキー生地を絞ってもらったりしたりもしました。地域の子供と繋がれることは嬉しいですし、お店以外の場所に出店することで、普段お店に来られない人とも繋がることができて、とても楽しいです。


▢地域の人々のあたたかさと、地産地消の良さ


赤石:お店の外でも、本当にたくさんの活動をしていらっしゃる横田さんですが、
もともとご自分から積極的に行動を起こせる方なのでしょうか。


正直、もともと行動できるタイプではないです!笑

様々な人との繋がりの中で、やってみない?と声をかけていただいているおかげだと思います。

私が住んでいる地区はほんとにいいところで、素敵な方がたくさんいらっしゃいます。
三鷹をよくするために、頑張る人、楽しむ人、一緒にやろうと言ってくれる人がたくさんいるんです。特に、主人の周りの40半ばくらいの世代と一緒に活動することが多いですが、もともと三鷹出身ではない自分も、あたたかく受け入れてくれる雰囲気があると感じます。


赤石:自分たちの住む地域をよくしたいという方がたくさんいらっしゃるのですね。

ちなみに、wata焼き菓子さんのお菓子は、三鷹市の野菜や果物を積極的に使っているとお聞きしましたが、それも地域の農家さんとの繋がりを大切にしているからなのでしょうか。


横田さん:その通りです!美味しい、安全、安心、それはもちろんですが、

やはり一番の理由は、

地域のつながりを感じられるから

ですね。

三鷹にはたくさんの農家さんが、多くの種類の野菜や果物を育てていらっしゃいます。身近に新鮮な野菜や果物があるのなら使わない手はないでしょ!ということで使わせていただいてます。

今ではいろんな農家さんとの顔見知りになっていますが、やっぱり作った方の顔が見えるのはいいですね。生産者の方の農業への思い、農作物をつくる姿勢、そういうものを感じ取れますし、食材へのありがたみもより一層感じることができます。
これからも、より深くお付き合いさせていただけれないいなと思っています。

また、自分が受け取った生産者の方の思いを、お客さんにも積極的に伝えていきたいですね。お客さんが「三鷹市にはにこんな野菜や果物が取れるんだ!」と知ってくれればと嬉しいですし、お客さんの間で口コミが広がっていけば、農家さんのお野菜や果物を買ってくれる方も増えると思います。そして結果的に、地域全体で潤うことができれば一番いいなと思っています。


赤石:「地域全体で潤う」、素敵ですね。地域の人と繋がることで、お互いに良い影響を与え合うことができるのですね。


▢コロナウイルスでの混乱を経て...


赤石:話は変わりますが、現在コロナウィルスで大変な世の中になっていますが、

このような中お店を営業していく上で、横田さんはどんなことを感じましたか?


横田さん:本当に世界中で様々な影響が出ていますね。コロナウィルスの影響で、私たちのお店も日数を減らして営業していましたが、本当に開けていて良いのだろうか?という不安もありました。

そんな中、お菓子を食べてくれた方に「元気が出ました!」「ほっこりしました!」というありがたいお手紙をいただいたことありました。改めて、私たちのお菓子は誰かを笑顔にすることできるんだなと思い、本当に嬉しく、涙が出そうになりました。また、「こんな時でもお店を開いてくれてありがとう」と言ってくださる方もいます。そのようなお客様の声を聞くと、このお店の役割や地域の人にとっての意味を感じ、身が引き締まります。

現在はお店以外での販売ができない状況なので、様々なイベントに出店して、お客さんと話せる日が再び来ることを願っています。

お話してくださった方:横田明子さん
文章:赤石夏海

***

オンラインのインタビューということで私も緊張していましたが、

横田さんのとても明るく気さくなお人柄のおかげで、楽しくお話することができました!

wata焼き菓子さんのお菓子を食べてみたい、お店に行ってみたい、という気持ちはもちろん、横田さんにお会いしてみたいという気持ちも大きくなりました!

また、「地域のとの繋がり」という言葉を何度もお話しされていたのが印象的でした。地域の人が繋がることで、新しい活動が生まれたり、お互いに良い影響を与え一緒に成長していく、そんな関係性が持つ可能性を感じました。

今回は、本当にありがとうございました!